140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「よくやったな!量はともかく、良いダシになるぞ」

「昇さん…ありがとう」

「なに、礼をいうのはこっちだ。レイワ育ちもなかなかのもんだ」


昇さんは、褒め上手だ。

あたしがいなかったら、もうとっくに他のみんなと合流してもっと先に進んでいるはずなのに、文句も言わない。

もたもた歩くあたしを気遣ってたくさん休憩をしてくれたり、早めに1日を終わりにしてくれる。

それで休憩のときやテントを張るときには必ず決まってこう言うの。


『お疲れさん、よく頑張ってるな』


って。

頭をポンポンしながら。


あたしはそのたびに申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、よし、また頑張るぞ、って思えるの。


食糧探しがこんなにショボい結果に終わっても、こうやってねぎらってくれる。


優しくて、強いんだなって、思う。
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