140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

昔…

テレビで見た野生動物の特集を急に思い出した。

野生動物は、次の瞬間に食われるとしても餌を探すことを止めない、って。

同じだ。

今のあたしたちと、同じ。

あたしたちも、次の瞬間に撃たれて死ぬとしても、食べなきゃそれも死なんだ。

だから、食べ物を探すことを止められない。


「ここで待ってるか」

「ううん。また襲撃とかあってはぐれでもしたら、それこそ生きていけないから、行く」

「よし、それでこそ生男だ」

「うん」


荷を整え終わった昇さんに続いて、根をくぐった。

空は、怖いくらいに静かだった。

< 214 / 481 >

この作品をシェア

pagetop