140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「こいつは古賀だ。古賀生男。行き倒れていたんだがどうも爆風にでもあてられたのか、名前しか憶えていないらしいんだ」
「生男、このむさくるしいやつらは阿久津に山根、向井だ」
「よ、よろしく頼むでありますっ!」
「ははは、なるほどサマになっでねえや!憶えちゃねえのは気の毒だが生きててなんぼだ、おもしれえ」
あたしは精一杯の低い声で、軍人ぽく挨拶したつもりだったんだけどな…
そのあと阿久津さんたちは昇さんが止めるのも聞かずに、残っていた魚を食べ尽くして、案の定、歩き出してから3人全員が不調を訴えて、その日は殆ど距離を稼げなかった。
つまりは、湖の水じゃなかったってことみたい。
熱に強いばい菌がいたか、生焼けか、もしくは飢えで弱った胃腸にがっつり魚は重かった、そんなところだという話で落ち着いた。
補給のない生活は、こんなふうに始まった。