140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「こいつは古賀だ。古賀生男。行き倒れていたんだがどうも爆風にでもあてられたのか、名前しか憶えていないらしいんだ」

「生男、このむさくるしいやつらは阿久津に山根、向井だ」

「よ、よろしく頼むでありますっ!」

「ははは、なるほどサマになっでねえや!憶えちゃねえのは気の毒だが生きててなんぼだ、おもしれえ」


あたしは精一杯の低い声で、軍人ぽく挨拶したつもりだったんだけどな…


そのあと阿久津さんたちは昇さんが止めるのも聞かずに、残っていた魚を食べ尽くして、案の定、歩き出してから3人全員が不調を訴えて、その日は殆ど距離を稼げなかった。

つまりは、湖の水じゃなかったってことみたい。

熱に強いばい菌がいたか、生焼けか、もしくは飢えで弱った胃腸にがっつり魚は重かった、そんなところだという話で落ち着いた。

補給のない生活は、こんなふうに始まった。
< 220 / 481 >

この作品をシェア

pagetop