140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「向井、川だぞ。いけるか?」
「行けるか、って、そりゃぁ、行くっす。死にたくねえすから」
「少し増水してるな。流れも速い」
「水が引くまで待づか?」
「…今より増す可能性も否定できん上に食糧に限りがあることを考えると、様子を見ている時間はないだろう」
「俺もそう思うぜ」
ゴクリ。
これまで何度か河越えをしてきたけど、いままでより水嵩が増していて流れも速い。
幅が数mの、そんなに大きくない川。
あたしと昇さん、ふたりの頃にいくつかこういうところを渡った。
でもそのときはこんなじゃなかった。
きっとここも普段ならジャブジャブ歩いて渡れる川だと思う。
だけど…
木の葉や枝、折れた木に流されたらしき建物の欠片…そんなのがザアザア、ゴウゴウと音を立てて目の前を流れている。