140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「なんだ生男、脱がねえと流されっぞ」

「えっ」


川の荒れように目を奪われていたら、阿久津さんにツッコミをいれられてしまった。

しまった、というような顔の昇さんと目が合う。

そうだ。

河越えのとき、昇さんは褌一丁で荷物を頭に担ぎ上げていた。

目のやり場に困るけど、それが普通の渡り方。

あたしは昇さんの前で脱ぐなんてできないから、軍服は脱いでロンTとハーフパンツで渡っていた。

今はみんながいるから、アメリカ国旗プリントのロンTなんか見せられない。

もちろん褌一丁も無理。

そもそも褌をつけていない。
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