140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「山根!なんとか担いで、筏を捨てろ!」
「おうよ!」
「無理するなよ!いよいよとなったら荷も捨てて構わん!」
「まだ米が入ってるんだぜ、絶対に捨てんさ」
山根さんが少しずつ流されながら筏との距離を詰める。
あたしたちとの距離はどんどん開いていく。
頑張って!
あたしは背中に貼りつく小枝や枯れ葉が昇さんの邪魔をしないように薙ぎ払いながら、息を飲んでその様子を見つめてた。
「ああっ!」
山根さんのほうに絡まり合った枝や葉の塊が流れていき、山根さんの首にかかった。
それを取り払おうとして体をひねった山根さんが、一瞬にして濁流にのみ込まれてしまった。