140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「山根えっ!待っでろ今行っがんな!」


阿久津さんが流れに乗って筏に向かった。

昇さんがその背中に叫んだ。


「阿久津!頼む!俺は岸につき次第、川下に向かう!」


阿久津さんからの返事はなかった。

だけど出来ることは限られている。

阿久津さんが追い付けなかったら、昇さんが陸から追いかけて筏を捕まえる。

それもできなかったら…

ううん!

今はそんなこと考えない!

陸まであと2mくらい。

くっ、と唇を噛みしめる。

怖い、怖いけど…っ!
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