140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「米が……すまねえ、すまねえ…」

「お前が生ぎてりゃそれでいいんだって言っでるんだけんども、さっきがらずっとこんなだ」


山根さんは荷を守れなかったことをかなり気にしているみたい。

そうだよね、あたしも湖で襲撃されたときはカニ置いてきちゃって、すごく凹んだもん。


「山根さん、よかった…っ。本当によかった」

「弥生ちゃん…」

「山根さんのせいじゃないよ、あたしが身長低くて昇さんにおぶさったりしたせいなんだから」

「だけどよぉ…」

「山根、判断を誤ったのは俺だ。すまん」

「誰も悪ぐねえよ、さ、ここは危ねえがら、行くぞ」


阿久津さんの言う通りだよ。

誰も悪くない。

いつまでも見通しの利く場所にいるのは雨だからって危険だ。


今度は昇さんが向井さんを、阿久津さんが山根さんを背負って、あたしたちは再び深い森に紛れ込んだ。
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