140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

向井さんを置いて行くなんて、そんなの絶対ダメ!

ひとりきりで回復なんて出来っこないよ。

だけど食い下がるあたしを阿久津さんが遮った。

その目は、とても悲しそうで、悔しそうで。

昇さんの蒼白で悲痛な顔を見て気付くべきだった。


みんな、わかってるんだ。

置いて行ったらどうなるかなんてこと。

……向井さんも。


今のあたしたちは、さながら群れからはぐれた野生動物で。

食べなきゃ死ぬ、群れに追いつけなければ死ぬ、そんな状態。

だから歩き続けなきゃいけない。

食うか食われるかの世界で、歩けなくなった者はもう、そこでおしまいなんだ…
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