140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

山根さんは裸にしちゃ気の毒だって一度反対したけど、軍服と鉄帽、天幕と刀をひとりずつ持つことにした。

誰かが生きて帰ったら、家族に渡そうって。


あたしは鉄帽を被っていなかったから、鉄帽を。

大きくてグラグラ不安定で、とても重たい。


だけどこれは向井さんの魂の重さだ。


向井さん、あたし。

…必ず、届けるから。
< 274 / 481 >

この作品をシェア

pagetop