140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

阿久津さんは、優しい。

だから、あたしが無駄な戦いだって言ったことを、こんなにも抱えてしまっていたんだ。

あたし…この戦争に参加してる軍人さんたちはみんな、本当に本心から相手を憎んで、敵を殺すことに罪の意識なんかないとか、そんなふうに考えてた。

例えば映画の中で敵の命を重くみるような人は、みんな風当たりが強くて。

お国のために死ぬのが当たり前で『生きて帰る』とか言っちゃう主人公が変人扱いされてたりね。


でも、違うみたい。

向井さんだって、生きたいって言った。

そして阿久津さんも、戦うことにずっと疑問を持ってるんだ。

考えるな、って言ってる昇さんも、きっと。
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