140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「だけどこっちに来てからはずっとお散歩の毎日だったからなぁ」

「お散歩って…」

「寒いとっから来たからよ、あったけぇし、海は見たこともねえってほど青いし、初めは極楽かと思ったんだぜ…」

「あ…あたしも、最初来た時にキレイだなって思ったよ。いきなりだったからびっくりしたし、すぐに戦闘機に狙われてそれどころじゃなかったけど」

「そうだろう?でもなぁ、やれあっち、今度はそっちって、転進転進と歩き続けて地獄を見たよ…弥生ちゃんも分かってるだろ?ここまで生きていられたのが信じられねえくらいだ」


いつもよりは小さい、だけど割としっかりした調子で喋る山根さん。

一安心だな、と思った。


でも…
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