140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「それか戦国時代の武士だな。平和になったらよ、それまでの正義が悪になるんだ。生きて、帰って、子供がでっかくなって、孫が出来ても、俺はこの人殺しの腕では抱いてやれねえよ」

「そんな……時代だもん、仕方ないよ」

「自分が、我慢できねえんだ。戦場じゃ殺るか殺られるかだから、んなこと考えちゃいねえよ。でもよ、夢に見るんだよ、毎晩。嫁さんと子供たちがアメリカ人になって、なんだこれは、と思って鏡を見ると自分もアメ公になってんだ。そんで普段通りに暮らすんだよ」


山根さんには、元から鬼なんかじゃなく、ちゃんと人間に見えてるんだ。

人間だって、分かってて殺してしまったことを、悔いてる…
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