140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「俺は、俺は…っ、この手で…っ、俺が守りたい幸せと同じ幸せを、いくつも!いくつも奪ってきたんだ……っ!」


泣いていた。

涙も流さないで、泣いていた。


「……ああ、寒いなぁ、だけど、あったけえ」


寒いと言い出した山根さんを、あたしはまた熱が出る予兆かと思ってたのに、あれから山根さんはどんどん冷えていった。


まるで向井さんの最期みたい。

氷みたいだ。
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