140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

色んな後悔が、山根さんの中で溢れてもう抑えられなくなっているのがわかる。


それでも生きて、歳をとって、おじいちゃんになって孫を抱っこしてほしいと思うのは、あたし側のワガママなのかもしれないと思った。


この地で、命を終えれば誰にも彼が人殺しをしたかなんてわからない。

それが山根さんの幸せなのかもしれない。


どのみち、選択肢なんかない。


山根さんがそう言って閉じた瞼から、一筋だけ、涙がこぼれた。

今度こそ、本当の極楽に行くんだね……
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