140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「ふえぇ…っ」
「弥生ぢゃん?」
何も感じなくなってしまったように動くことのなかった感情が、一気に極限まで振れたのがわかった。
昇さんに会えた嬉しさと、ここで合いの手を入れてくるはずの山根さんや向井さんがいない淋しさがごちゃごちゃに入り混じって、溢れかえる。
なかなか泣き止まないあたしを、阿久津さんが必死になだめてくれた。
昇さんは、山根さんの身の回りを整理しだしたようだった。
整理といったって手ぶらみたいなものだから、あるのは向井さんの形見くらい。
「これは、俺が持づ。弥生ぢゃんは向井のを持っでくれ」
「うん」
阿久津さんがそこへ寄っていって、昇さんから山根さんの刀を受け取って言った。
あたしに渡されたのは、向井さんの短刀。