140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「さぁー!腹いっぱい雨水食うぞぉ」
阿久津さんが、褌一丁で妙な雄叫びを上げる。
昇さんがそれを見て笑った。
よかった。
あたし、ずっと川が怖かった。
渡るのが怖いとかじゃなくて、渡るのももちろん怖いけど。
川で山根さんが危ない目にあって、向井さんが死んじゃったこと、昇さんがずっと自分のせいだって抱えてるんじゃないかって思って。
もちろん、忘れてなんかいないだろうけど、それでも。
渡河を前にして笑えるんなら、それで充分。
この河を渡るときは、今度こそ無事に向こう岸へ行くんだ。