140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
そこから先は、あまりよく覚えていない……
あたしの目の前で立ち上がった阿久津さんが、一瞬で視界から消えた。
え、と思って下を向いたら、頭から血を流して流される阿久津さんがいた。
昇さんが叫びながら手を出していたような気がする。
だけどその全部がスローモーションみたいな景色の中、阿久津さんが赤いリボンみたいな血の帯を引きながら遠ざかって行く。
モノトーンの中に鮮血だけが赤くて、あたしはゆらゆら揺蕩うその帯を見つめていた。
赤い帯は見る見るうちに流れに消されて、見えなくなった。
「阿久津さん!!」
叫んだときは、もう阿久津さんの姿は見えなくなっていた。