140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
コントロールが利かない岩だらけの流れの中を下って追いかけることは、昇さんでも無理だった。
どうやって渡り切ったかわからないけど、あたしたちはとにかく夢中で岸に上がって、川下に向かって走った。
阿久津さんは、すぐに見つかった。
どれほど流されてしまったかと思ったのに、しばらく走ったところで、大きめの岩にもたれかかっているようだった。
だけど、もたれかかっているわけではなくて。
たまたま、そこにひっかかっているだけだと、すぐにわかってしまった。
腕に力はなく、波にまかせて揺れていて、身体じゅうあちこちが切れて皮がめくれているような所もあって、背中の血の気は消え失せていた。
蝋人形みたいだった。
これは阿久津さんで、まだ生きているかもしれない、そう思いたいのに、なんだか得体の知れない気味の悪いものを見てしまったような気持ちでいっぱいだった。