140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「はっ、報告いたします!第18軍所属、輜重第41連隊、町田昇、以下2名。ホルランジヤより転進、只今ゲニムに到着いたしました!」

「よし。報告は本部前だ。…よく生きてここまで来たな、向こうまで行けば粥もあるぞ」

「はっ!ありがとうございます!」


昇さんが即座に声を張って機敏に答えたおかげで、あたしのことはチラっと見られただけで済んだ。


「今の、偉い人なの?」

「階級章は伍長だったな」

「そうなんだ」

「お前が座ったままで肝が冷えたよ、この状況下だから腹が減って立てないとでも思われたんだろう」

「あはは…ごめんなさい」


あのチラ見はそういう意味だったんだ…危なかったぁ。
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