140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

じわじわと少し違和感のある左手に気付いて神経を集中させると、腕を少し持ち上げることができた。

なんとか視界に入った手の甲には、肌みたいに柔軟で透明なフィルムが覆う清潔そうな極細の点滴針と、そこから伸びるしなやかな細いチューブがついている。


やっぱり。

ここは現代だ。

あの時代、しかもあの島に、こんな綺麗で進んだ病院や医療器具があるはずがないんだから。


…戻って、きたの?

ううん、そもそも。
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