140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「おじゃまします」


晶の家に上がるのは久しぶりだ。

子供の時以来だから、ちょっと緊張する。

部屋にあがって、さっそく写真を見せてもらった。


そこには、あたしが会う前の昇さんが見た場面が写っていた。


採ったヤシの実で顔を挟んでおどける軍人さんがいた。

肩を組んで歌っているのか笑っているのか、楽しそうな人がいた。

同じ部隊だった向井さんも、まだふっくらした頬を輝かせて笑っている。


『縁起でもないが、写真1枚残さず死んでいくなんてそのほうがよっぽど酷い話だろ』


昇さんが言っていた言葉……

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