140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「遺骨もなんもねぐて、だけんども後でカメラを持っで来てくれた兵隊さんがいてなぁ」
「そのカメラは!?どこですか?」
「終戦後はウヂも苦しぐて、カメラは親父が売っぱらっちまっだんだ。だけんどそん時売っだとごが質屋でねぐてカメラ屋で、中に切れ端が入っでたって焼いで持っで来てくれたんがほれ、おじょうさんの写真だったんだと」
切れ端…!
それでさっきの中にはなかったんだ!
古くて、白黒も褪せて、南国の海に女の子がいるだけの写真。
どんなに目を凝らしても、あたしだとはわからない。
なのになんでおじいちゃんは、あたしだって言って渡してくれたんだろう。