140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
指の横を、ブローチみたいなメタリックの昆虫がのそのそと通り過ぎた。
見上げれば、空に向かって高くそびえる樹々。
鬱蒼と葉が茂って、あちこちにツタが絡んだ深い森。
遠くで、フルートみたいに透き通った涼しげな鳥の声がする。
南の島ならどこも同じかもしれないけど、きっと。
信じよう。
自分を。
信じるしかない。
奇跡を。
立ち上がり、軍服の脚についた泥を払って、あたしは3度目の大地を踏みしめた。