140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
浮き輪、持って来るべきだったな。
玲奈と去年の夏に、インスタ映えとか言って色違いで買ったドーナツ柄の浮き輪が頭に浮かんだ。
インスタ、やってないけど。
映えもクソもない濁流の中で坊主頭のあたしがドーナツに掴まってプカプカ浮かぶのを想像してしまった。
そんなのよりもっと、船についてるみたいな、岩に当たっても破けない実用的なやつが欲しいよ。
そんなこと考えたってしかたない。
あるもので行くしかないんだし。
…あたしの手には地図と磁石がある。
だけど現在位置の目印になるものがない。
だから奇跡を信じて進むしかない。
どうか昇さんに、会わせて…!