140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
視界の端に、軍服姿の男の人。
真っ直ぐに、立っている。
血を流してもいなくて、汚れてるけど、少なくともここまでは臭ってこない。
髪と髭が、少し伸びてるけど見覚えのある彫りの深い顔立ち――
「昇さん…っ!」
「お前、戻ったんじゃなかったのか?何しに…うわっ!」
生きてた!
生きてた生きてた生きてた!!
あたしは嬉しさのあまり犬みたいに飛び掛かって、昇さんを倒してしまった。
再会した昇さんはとても元気そうで、とても明日死んでしまうなんて思えないくらい。
あたしのみっともない心はこの際横に置いておいて、なんとしても昇さんに生き延びてもらおう、そう思った。