140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「輜重兵はな、要は運搬係だ。いろんなものを運ぶ。それにここに来てからは雑用はみなこっちの仕事だった。倉庫番に農場管理、海で食糧調達と、何でもやった。だから兵の数と物資、明らかに勘定が合わないのは最初から気付いてた」

「……」

「それにな、ゲニムでの補給がほとんどされなかったんだ。迷わずサルミに着けるとしてもまるで足らん。本土にコメがないのは軍需優先だからのはずだが、優先しておきながら足らないでは、一体コメはどこにあるんだ?この分じゃおそらく、サルミにも我々を養うだけの用意はないだろうよ」

「昇さん…」

「兵糧が尽きたら、このニューギニヤ島という籠城作戦で勝鬨をあげることは不可能だろう。そして本土も島だよな。つまりはそういうことだ」


昇さんは、薄々気付いていたんだ。

それなのにあたしたちの前ではそんなこと全然みせないで…
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