140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
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全て話しても、昇さんのサルミヘ向かう決心は揺るがなかった。


『そうか』


とだけ言って、あとは話を逸らすみたいに持ってきた食べ物のことをアレコレ訊いてきたりした。


だけど日没が来て暗くなると、昇さんの気持ちにも陰りが見えた。


パチパチと火の音。

この音、懐かしい。

たった1週間かそこらなのになぁ、なんて物思いに耽っていたら。

炎を眺めながら缶詰を頬張り、うまい、うまいと言っていた昇さんがポツリと呟いた。


「サルミへ行けないということは俺も結局、無駄に死ぬのかな」


無駄……って。
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