140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「…っ、無駄なんかないって言ったの、昇さんでしょ?なんでそんなこと言うの…」

「だってそうだろう。同じ死ぬにしたって、サルミでもう一戦、とでもなって敵と刺し違えるなら名誉なことだが、向井も、山根も、阿久津も…他の奴らも皆ここで野垂れ死んだ。お国から立派な装備を賜って戦地にありながら、敵の目からこそこそと逃げ回るだけの軍人など」


昇さんが言うこともわかる。


ここに数日いれば、あたしみたいな平和ボケにも、少しは戦争中の考え方とあたしの暮らしてた時代とは全然違うってことがわかってくるんだ。

同じ死ぬなら敵もろとも、山根さんも言っていた。


だけど、名誉って何?

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