140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「あたしのいた時代にはね、名誉の死なんてないんだよ。あるとすれば例えば子供をかばって死んじゃったとか、たぶんそういうのくらい。みんなね、死ぬときは突然だよ。毎日ニュースでやってた。コンビニに車が突っ込んで高校生が死んだとか、仕事場にいきなりガソリン撒かれて爆発死とかね。じゃあさ、それはみんな無駄な死?」
「それとこれとは話が違うだろう。戦争なんだ」
「違わないよ!戦争があったってなくったって、あたしたちはただ生きて、ただ死ぬだけだよ、生まれたらみんな死ぬんだから。じゃあさ、無駄なんだったらなんで生まれたの?なんで生きてるの?」
あたしは、昇さんにこの戦争に負けることを恥じてほしくなかったし、この島で起きたこと、亡くなった人たちが負けたら全て無駄になるなんて、思って欲しくなかった。