140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
「…戦争じゃないけど、大きな地震があったの」
「地震…」
「その時のことはまだ小さかったからよくは憶えてないんだけどね、テレビで追悼番組やってて、自分の避難が間に合わなくなるまで避難を呼びかける放送をして津波に飲まれて亡くなった人の話を見たの」
「…立派な死だな。それこそ名誉の死だ」
「ほらまたそうやって。その時のテレビでもそんな感じだったんだけど、あたしはなんか嫌だなって思ってたの。その嫌だなの理由が、今ならわかるよ」
「どういうことだ」
「立派に、生きたんじゃないかな。その人」
「……」
「無駄かどうかは考え方とか、生き方で変わるんだよ。死に方じゃない……あたし、ここにきてずっと役立たずで、それこそ無駄な存在だった。なんでこんなとこ、なんでこんな目に、ってずっと思ってたし。でも、変わりたいって思ったの」
そう、変わりたいって思った。
思うこと自体が、あたしが変わった何よりの証拠。