140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「ねえ昇さん。戦争が終わったら、何したい?」

「そうだな。やっぱり写真だな」

「あ!それで思い出した!見てこれ」


あたしは、リュックのポケットから写真を一枚取り出して、昇さんに見せた。

初めて会った日の、海辺の写真。


「どうしたんだこれ」

「戦後ね、……昇さんが現像したんじゃないかな」

「ああ、なるほど。よく撮れてるな」


考えなしに写真を出して、形見のカメラに入ってたことを言ったら昇さんが戦死したって言ってるようなものだ、と咄嗟にごまかした。
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