140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
**

水も食糧も、薬だってあるのに、結局あたしは何も出来ない。

何も出来ないまま、弱っていく昇さんを黙って見ているだけなんて。


「嫌だよ、昇さん、死んじゃ嫌だ…っ」

「泣くな。ほら見てみろ」


あたしの肩にもたれたまま空を指さす昇さんの視線を追うと、空爆で穴があいた森の上に、満天の星空が広がっていた。

深い紺色に数えきれないくらいの星が輝く、ラピスラズリみたいな空。


「すごい…………」

「ここの空は、本土から見えない星座が見えるんだ。船乗りが南を目指す時に見る星もある。ほら」

「どこ?」
< 450 / 481 >

この作品をシェア

pagetop