140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

昇さんの腕が弱々しく伸びて、アングルを決めるみたいにフレームを形作った。

その中を覗くと、周囲より強く輝く星があるのがわかった。


「南十字だよ。俺たちも夜が来るたびにこの星を確認して、また進んできたんだ」


南十字……校外授業のときにやってたのを思い出した。
あのときはただ眠くて面倒で聞き流してたけど、昇さんと見る星空はぜんぜん違って見えた。


「キレイ…本当に十字架みたい……」

「ただ方角を知る為だけの星空も、お前と見ていると違って見えるな」

「……昇さん」

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