140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
**

雨の中、ふらふらと歩きだす。

夜目が効いてくると、月と星の明かりだけでも進めるものだな、と思った。

なぜだか、疲れる気がしない。

そりゃそうか。

あたしは令和で健康を取り戻した体でたった1日、歩いただけなんだから。


すごくすごく、長かった気がしたのに、ここへ来て1日とちょっとしか経ってない。


半分以上の時間を、鼻がおかしくなりそうな異臭の中での死体確認に費やした。

昇さんと過ごせたのは、最後の数時間だけ。

< 460 / 481 >

この作品をシェア

pagetop