140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空

「形見……、返しに行ったら、阿久津の実家も行こう」

「うん。そうだね…って、家、知ってるの?」

「世間って案外、狭いんだよ」

「えっ、それってどういう……」


ニヤリと笑って晶がカシャリとシャッターを切った。


「あ!だから変な時に撮らないでってば!もう」

「昇の時は1枚しか撮れなかったからね」


前はすごく嫌だったけど、もう嫌じゃない。

でも照れくさいから、まだ嫌がっておこう。


そんなことを考えてたら、構えたカメラを降ろした晶が、真面目な顔であたしに言った。
< 477 / 481 >

この作品をシェア

pagetop