140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
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今日は大潮だからいっぱい獲れそうだ、ってお父さんが言ってた。

両手に潮干狩り道具を持ったあたしは、この恋愛要素ゼロな装備を恨めしく思いながら、砂浜をずんずん歩く。


潮が引いていて、駐車場から海水があるところまでが、結構遠い。


歩くたびにナイロンジャージが擦れて、シャカシャカと音がする。

いいの、どうせこんなところで出会いなんてないんだから。


だいたい、もし出会ったところで「出会いの場所は潮干狩りの砂浜」なんて嫌だ。

同じ海で出会うなら、やっぱり南の島!

ヤシの木と、どこまでも続く白い砂浜、青い海に青い空!

そう、こないだの夢で見た場所みたいな…

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