140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
泥砂の付いたそれを海水で洗うと、5、6センチくらいの茶色くてツヤツヤしたどら焼きみたいな貝。
「わ、これハマグリかも!」
正直、貝の種類なんてよくわからないんだけど、とりあえず獲って、あとでお母さんたちに分けてもらえばいいかな。
あたしは夢中になってその周囲を掘った。
水分を含んだ砂は重たくて、掻いても掻いても水に溶けるみたいにして元の形に戻ろうとする。
熊手にはない平らな面で掘るから、手がすごく疲れる。
「砂、重たっ。やっぱ貝なんて買ったほうが早いって…あっ!」
へこたれ始めたところでまた何かに当たった。
「アサ…うん、違うかな。アサリはもっとざらざらしてた気がする。ちっちゃいけどこれもさっきのとおんなじだ」
獲れると、楽しい。
でも疲れる、そんな感じ。
その繰り返しで、波打ち際を伝って掘り進む。