1から10までの法則
「はい!でわ、乾杯〜!」
所長である禿げ山…じゃなくて村山さんが乾杯の音頭をとった。
従業員は少ないので、居酒屋の個室でも充分収まっていた。
「めぐちゃん、お疲れ〜!」
-カチンッ-
グラスを重ねてくれたのは、あたしの2個上の看護師の上野さん。
一番歳が近いって事でとても話やすくて、あたしのお姉さんみたい。
「お疲れ様です!」
あたしが返事を返すとニコッと微笑んで、つまみに手を出した。
「ここの居酒屋、よく来るの。おつまみも美味しいし雰囲気もいいじゃない?」
と言って、また一口グラスを傾けた。
「ね、ね、めぐちゃんって彼氏本当にいないの?!」
突然な質問。
「はい。」
単調に答えると上野さんがフッと笑った気がした。
「そっかぁ〜、めぐちゃんいそぉなのになぁ〜。仕事も真面目だし、可愛いし、モテそぉなのにぃ!」
「いやいや、そんな事は…」
「あっ!じゃぁさ、今度の土曜日に飲み会あるんだけど来ない〜?」
突然過ぎるお誘いに戸惑っていると、あたしの右手側で他の同僚と話をしていたゲンが急にあたし達の方に目を向けた。