悪魔少女
キキは泣き叫び、ノエルの肩を強く掴む。ノエルの目からも涙があふれていた。

「……はあ、めんどくさい」

テオはそう呟き、ドアを開ける。夜風が入り込んで、部屋にある鉄の匂いが薄くなった気がした。

「そんなに泣き喚かれると面倒だ。仕方ないから、諦めてやるよ」

ただ、ノエルは悪魔であることに変わりはない。そう言い残してテオは飛び去った。静寂が戻り、ノエルとキキは見つめ合う。

「私、これからどうやって生きていこう?」

不安を覚えるノエルを、キキは優しく抱きしめた。

「私がそばにいる。一緒に生きて」

「うん……」

ノエルは頷き、涙をこぼす。悪魔の羽は念じればスッと消えた。しかし、ノエルの鼓動はもう人間のものではない。

それでも、「生きて」と言うキキのために生きよう。ノエルはそう決意した。
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