再会~俺のONLY ONE ~何があっても離さない~
「相変わらずおねぇちゃんはうまいよね。料理。」

どうやらこの妹の紗莉ってやつは実家暮らしらしい。
菜莉の家はごく一般的なサラリーマン家庭だったてことは知っていた。
母親はパート勤めできょうだいがいるってことも。
ただ、それが妹とは知らなかったし、こんな気のきつい美人で顔だけが取り柄の女とは知らなかった。

菜莉の料理は一般的なほかの女と比べるとかなりうまいほうだ。
まぁ俺も料理はうまいからそのへんは俺だって負けてないけど。

ただ、海外出張のあとに和食を用意したり、寒い日は体があったまりそうなごはんつくったり、そういう気の利く料理ができるやつなのだ。
まぁそれは料理だけじゃなくて、日常生活にもあらわれてるわけで、仕事も適材適所でテキパキこなすし、雰囲気を読むのもうまい。
そういうとこも高校の時から俺が菜莉にまいってるとこのひとつでもある。

見たところ、紗莉ってやつはそういうところが欠如していそうなかんじだった。

いってみれば菜莉とは真逆の人間ってやつだ。

「これどうやって作ったの?」

菜莉がつくった揚げ出し豆腐を指さす紗莉。

「あ、それ?結構ややこしいよ。豆腐あげたりしないといけないし。」

「そっか…」

しゅんとする。
なんだ?かわいいとこあんじゃねーか。
カレシのためにつくろうとでも思ってんのか?

「なんで?つくりたいならちゃんと教えてあげようか?」

「うん。いいの?!」

顔をパッと輝かせて言った紗莉だったけど、その後ふと顔を伏せてから言った。

「知ってる?おねえちゃん。」

「何?」

(そう)ちゃんが帰ってくんの。」


ん?
俺の心の鐘が警笛をならしはじめた。

奏ちゃん?
だと?


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