再会~俺のONLY ONE ~何があっても離さない~
「まず、これが会社用スマホです。」

棚からとって雑に手渡す。

「あとっ!わたしのことは松嶋と呼んでください。」

「なんで?」

「なんでって…ここ会社ですよ?普通苗字で呼びません?」

「まあ。そうだな。公共の場ではな。けど、そうじゃなければいいだろ?昔の知り合いなんだし?」

「そういう問題ですか?」

はぁーっ…
ため息がもれる…

「それより…こんなとこ連れてきて…誘ってんの?」

サラッとそんなこと言って髪をかき分け、そのまま横向いてしまった先輩のあまりのデリカシーのなさに一瞬…わたしは固まった。

「な、何言ってるんですか!ふざけないで!」

そしてわたしはくるりと踵を返した。

そうじゃないと泣きそうだったから…
こんな男のために…泣いてるなんて…知られたくなかった。

「わたし、1課の営業補佐なので…何かわからないことあったら言ってください。」

そして、後ろ向いたまま、備品室の鍵をテーブルの上にガチャっと置いた。

「ここ出る時鍵かけてきてくだいね。」

そして足早に備品室を出る。


なんなのよ。

だいたいなんで同じ会社…
万も億もある世界の会社の中で、なぜまた同じ会社を選択することになるのか…

意味わかんないし…


今更…
わたしの心…かき乱さないでほしい…。

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