一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「私には建築家になりたいとか、弁護士になりたいとか、具体的な夢がないのよ。ただ本に囲まれてれば幸せって感じ」
出来上がったラーメンを器に移して、コーンともやしを乗せると、ダイニングテーブルの上に置いた。
「出来たよ。お兄ちゃんの大好きなチャーシューとメンマないの。ごめんね」
「いや。璃子が作ってくれるだけで嬉しいよ」
兄がこちらにやってきてテーブルに着くと、匡も戻ってきた。
「なんだ京介、夕飯まだだったのか?」
匡は冷蔵庫を開けて缶ビールを二本出すと、一本を兄に渡した。
「サンキュ。まあバタバタしててさ」
曖昧に答える兄に匡は帰国の理由を尋ねる。
「なんの用で日本に戻ってきたんだ?」
匡の質問に私と兄は一瞬固まった。
急な帰国だもん。そりゃあ匡もわけを知りたいよね。
でも、兄に帰国の目的を話されては困る。
お兄ちゃん、うまく誤魔化してよ。
祈るような気持ちで兄を見ていたら、兄がチラッと私を見た。
< 122 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop