一生、俺のそばにいて～エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで～

「いや……あの……その……璃子の髪型が気になって」
兄はすぐに匡に視線を戻し、辿々しい口調で答える。
お兄ちゃんは嘘をつくのが苦手だ。
匡は信じるだろうか？
ハラハラしながら彼の反応をうかがう。
「お前ってホント馬鹿。仕事もあるだろうに、そんな理由で帰って来るなよ」
匡は呆れ顔で言って、缶ビールを開けてゴクッと飲む。
どうやら信じたらしい。
とりあえずホッとするも、心臓がおかしくなりそうだった。
「ハハッ。璃子にも説教されたよ」
兄も安堵した様子でラーメンを啜る。
「京介の仕事の方はうまくいっているのか？」
兄の対面の席に匡は座り、缶ビールをテーブルに置くと、手を組んだ。
「ああ。まあね。お前が家を建てる時は俺が設計してやるよ」
持っていた箸を止め、兄は匡に目を向ける。
「それは楽しみだな。今夜はホテルでも予約してあるのか？」
匡が頬を緩めながら聞くと、兄は無邪気に笑った。