一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「いや。もうなにも考えずに来ちゃったからさあ」
相変わらず計画性のない兄に少し強い口調で言う。
「お前うちに泊まる気だろ?言っておくが、うちにはベッドがひとつしかないぞ」
「え?じゃあ、璃子はどこで寝てるんだ?」
「俺の寝室」
匡の返答に兄は顔を青くした。
「はあ~!」
素っ頓狂な声をあげる兄を楽しげに眺めて、匡は付け加える。
「で、俺がリビングのソファで寝てる」
いや、その発言は微妙じゃないの?一昨日はベッドで寝たでしょう?
じっとりと匡を見て心の中で突っ込む。
「な、なんだあ。びっくりさせるなよ、匡。お前と璃子が一緒に寝てるのかと一瞬焦ったよ」
ハハッと顔を引きつらせる兄。
「お前さあ、璃子だってもう二十二だぞ。大人なんだからその程度のことでいちいち大騒ぎするなよ。そんなんで璃子が結婚したら、お前どうすんの?」
「え?結婚?……どうしよう?」
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