一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
こんな真似をされたら、もう強く聞けない。
「璃子に口止めされたのか。ったく、どいつもこいつも、なぜ俺になにも言わないんだ」
苛立ちながら髪をグシャッとする俺に、京介はひたすら頭を下げた。
「匡……ごめん。俺からは言えないだ」
「わかった。お前は救いようのないシスコンだからな」
ハーッと溜め息をつくと、俺はダイニングに行き、キューブ型の棚からウィスキーとグラスを持ってきてリビングのテーブルに置く。
「おい、飲むぞ。朝まで付き合ってもらうから覚悟しろよ」
胸の中に湧き上がる不安。
璃子になにかあるはずなのに、俺だけ知らされない。
飲まなきゃやってられるか。
「……匡」
グラスにウィスキーを注ぐ俺をじっと見つめる京介。
「ほら、そんなとこに座ってないで、飲むぞ」
グラスを差し出すと、彼はソファに座りグラスを受け取った。
俺もグラスを取り、「乾杯」と高く掲げると、一気に飲み干す。
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