一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「旅館には泊まれなかったが、それなりに楽しんだ」
ラブホのことは言わずフッと笑って見せると、長谷川も笑顔で相槌を打った。
「それなら良かったです。それにしても明け方まで飲むなんて、なにかあったんですか?」
「彼女の兄貴がアメリカから来ててな。お前とすれ違いで帰ったけど」
そんな話を長谷川としていたら、璃子が鞄を手に戻ってきて俺に手渡す。
「はい。ハンカチと鍵は持ってる?」
彼女が母親のように確認するので思わず苦笑いした。
「小学生じゃないって。じゃあ、行ってくる」
「行ってらっしゃい」
璃子がニコニコ笑顔で手を振るのを見て、玄関を出て、社用車で会社に向かう。
車の中で、長谷川は今日のスケジュールを俺に伝える。
「八時半から役員会議、十一時から睦月製作所の専務と打合せ、午後は!?」
「お昼はちょっと抜ける。璃子の母親と会うんだ。どこか店を予約しておいてくれ」
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