一生、俺のそばにいて～エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで～

長谷川の言葉を遮って命じると、彼は顔色も変えずに頷いた。
「わかりました。では、午後の予定は念のため少しずらしましょう」
「ああ。頼む」
窓の外に目をやりながら、長谷川の業務の確認に指示を出す。
朝の通勤で多くの人が慌ただしく勤務先に向かっている。
いつもと変わらない風景。
だが、言いようのない不安が俺の心をかき乱す。
会社に着いて自分のオフィスに鞄を置くと、役員会議のある会議室に向かう。
途中社長である親父と廊下で会い、週末のことを聞かれた。
「伊豆はどうだった？雨に降られたそうだが」
「思ったより楽しめましたよ。璃子もすごくはしゃいでいました」
業務報告のように答えれば、親父は頬を緩めた。
「そうか。璃子ちゃん、喜んでたか。だが、お前は浮かない顔をしてるな」
穏やかで、普段のほほんとしているように見えても、親父は鋭い。