一生、俺のそばにいて～エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで～

璃子のことが気になって……なんて話をしても、きっと親父にうまくかわされるに違いない。
「昨夜京介が来て、夜飲んだから二日酔いなんですよ」
もっともらしい言い訳をしたら、親父は驚いた顔をする。
「京介君、帰国してたのか」
「相変わらずのシスコン振りでしたよ」
フッと笑みを浮かべれば、親父もハハッと笑った。
会議室に入ると、もう他の役員は席に着いていて、定例会議が始まった。
資料を見ながら報告を聞くが、油断しているとすぐに璃子のことを考えてしまう。
突然の京介の帰国。
おばさんからのメール。
もう嫌な予感しかしない。
午前中の仕事を終えると、歩いて長谷川が予約してくれた会社近くのイタリアンの店へ。
ドアを開けて中に入り、出迎えた店員に「予約した八神です」と伝えると、奥にある個室に案内された。
すでにおばさんは奥の席に座っていて、テーブルに飾られている花をじっと見ていた。