一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
匡に手を引かれると、先生の方を振り返って声をかけた。
先生はなにも言わなかったけど、そのまま匡と研究室を出る。
「ったく、久野さんにはあれ程気をつけろって言っただろうが」
スタスタ歩きながら私を叱る彼。
自分でもさっき起こったことを頭の中で処理出来ずにいた。
ただただ驚いてしまって……。
お酒を飲んでいなくても男の人って豹変するんだ。
「ごめん。匡はどうして先生の研究室に?」
久野先生の研究室の場所は、匡は知らないはず。
疑問に思って聞いたら、彼は少しムスッとした顔で説明した。
「お前がなかなか戻って来ないから、守衛さんに事情を話して久野さんの研究室教えてもらったんだよ」
「そうだったんだ。心配かけちゃってごめんね」
匡が『俺のに手を出さないでくれますか!』と先生に言った時は、深い意味はなかったとしても嬉しかった。
心から謝ると、彼は面倒くさそうに返した。
「もういい」
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